〔結局は人間関係が重要な要素〕
“リアル島耕作さん”から得た示唆
先日、サラリーマンとして昇進し続け、現在は社長をしていらっしゃる“リアル島耕作さん”とお話をする機会がありました。
お話を伺って、サラリーマンの世界でも学校でも、大切なところは同じだなと改めて思いました。
島さん(仮名)によると、
「全ては人間関係の構築にかかっている」
とのこと。
「仕事が辛いというのも、結局は人間関係が辛いんですよ」
考えてみると、教育現場で苦労されている先生のお話で、
「能力的にこの作業ができない」
とか、
「給料が安すぎてやっていけない」
という悩みは聞いたことがありません。
多くは学級経営(クラスの人間関係)、保護者との関係、職員室での人間関係の悩みです。
時間的な悩みも多く聞きますが、これもチームワークが良ければ、学校全体で効率化する方法を考えたり、仕事量の偏りをなくす方法を考えたり、学校が一丸となって教育員会に改善を要求したりと、工夫ができそうです。
そもそも先生方は
「悩みを相談できる人がいない」
と言って私のところに連絡をしてくるのですから、職場で良い人間関係ができていれば精神疾患にかかる先生や退職してしまう先生も減ることでしょう。
けれども人間関係構築というのは、大きな課題です。
いきなり数十人の指導を求められる
会社に入ると、上司や先輩から指導を受けると思います。
後輩ができると自分がその人の指導をする立場になり、昇進すると部下ができて指導をし、昇進するごとに責任をもって指導するべき人数が増えていくことでしょう。
ところが学校現場では、新任であっても先生として、いきなり数十人(学校規模によりますが)の子供の指導をしなければなりません。
また同時に保護者たちとの関係も構築しなければなりません。そして、学級経営ぶりを細かく見て指導してくれる人はいません。先輩教師や管理職たちも忙しいし、お互いの教室内の様子は外から見てもよくわかりません。
若い教師が先輩教師に質問や相談をする風潮も、先輩教師や管理職が指導に関して厳しい指摘をする風潮も、私が教員の時代にはあまりありませんでした。だから教員時代は、教員向けの本を読んで研究したり、自分なりに苦労して子供たちや保護者との関係づくりをしていました。
もしも職員室で素晴らしいチームワークを築けたら、それだけでも学校は大きく変わると思います。
良質な人間関係を構築するために
島さんは、部長時代に人間関係構築の仕組みを色々と考え、結局は自分のファンをつくることだという結論に達したそうです。
部下である課長たちが、義務感でなく
「島部長のいうことなら!」
「島部長と一緒に仕事をしたい!」
と思ってくれたら、それはそれぞれの課長の下にいる社員たちにも伝わります。
さらに島部長は、課長たちが全社員の意見を吸い上げる仕組みを作って、定期的にそれを話し合う機会をもったそうです。
意見の中には上と相談するような大きなものから、すぐに改善できそうな小さなものまであったそうです。
その中で自分に関して
「部長は怖い。話していると責められている気になる」
というような意見が出てきたら素直に改善する……そのようにして、ファンを増やしていったとのこと。
「そういう指摘を受けても落ち込まないこと」
「自分で自分の弱点はなかなか見えないから、指摘してくれる人を作っておくこと」
が大事なのだそうです。
実はこの島社長、聞けば誰でも知っているような大きな会社の方です。でも、それを知らなければ、とても優しい、感じの良いおじさんにしか見えません。偉そうなところがちっともないのです。
すごい経歴をもった方だと分かってからも、普段話すと感じの良いおじさんとして気楽に接することができます。
この雰囲気、話術が、たくさんのファンをつくって人間関係を構築し、会社の生産性を上げた秘訣なのだろうな、これがリーダー性なのだろうなと思いました。
あなたはどのように人間関係づくりをしますか?
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