〔本質的課題を感じ解決策を示す〕
緩まぬネジは19歳のひらめきから
IBMが運営するWebメディア『Mugendai(無限大)』(1月27日付)に、人類初の『緩まないねじ』を発明した道脇裕さんの記事が掲載されていました。
道脇さんは、人類の長年の課題であった『緩まないねじ』を、19歳の時のひらめきで作ってしまった方です。
古い自動車を運転している時にタイヤが取れてしまい、
「ねじって本当に緩むんだ……」
と思ったのがきっかけだそうです。
「緩まないねじを実現することは、不可能である」
と聞き、
「不可能を証明することは可能を証明することより難しい。不可能が証明されていないのであれば、不可能とは言えない。可能にする構造を考えて、反証しよう」
と考えた数秒後に、原理と構造を考えついたと言うのですから驚きです。
そのねじは、世界で最も厳しいとされる米国航空宇宙規格(NAS)の振動試験機で緩み耐久試験を実施した時、17分間緩まなかったら合格とされているところを、合否分岐点の17分を経過しても全然緩まなかったというエピソードがあります。
3時間くらい経過した頃、試験装置側のねじの方が壊れたとか。
道脇さんは、このことがあって、緩まないねじの実力を確信したと語っていました。
小学5年で自主休学して
道脇さんは2万件以上の発明をしているということで、どのような子供時代を過ごしたのだろうと興味が湧き読み進めていくと、小学校5年で自主休学をしていました。
学校に通う意味が見出せず、2年になったら変わるだろう、3年に進級したら変わるだろうと通学したけれど、やはり意味を見出せなかったとのこと。
「このまま中高大学と進んでも、独創性がなくなり量産型みたいに画一的な人間になってしまう」
「独創的で問題解決型で様々なモノゴトを共有できる人が必要な社会であるが、反面そのような人はほとんど存在しない」
これは
「日本全体にとって甚大な損失でもあるので、1人でもその量産型ラインから降りるしかない」
ということを、5年生の時に考えたというのですから、すごいなと思います。
「自分は勉強が嫌いではない。むしろ好きな方だ。いつか必ず学問の道に戻ってくる。その日が来るまで見守っていて欲しい」
と両親と学校を説得する5年生もすごいけれど、それを認めた大人たちも素晴らしいなと思いました。
学校に行かなくなった道脇さんは、大学教授であるお母様の研究室で実験三昧の生活をし、その後社会の仕組みを知りたくて新聞配達、漁師、とび職などの職を転々としたそうです。
ある日友人と話していて、自分には知識と社会常識が足りないと感じ、学業の必要を感じて独学で大検を受け、合格しました。
海外の大学に留学もしています。
学校教育と日本のあり方
その道脇さんが学校教育について、次のように述べていました。
個人の能力や興味対象は千差万別で、それに対する万能の処方箋は無いと思っています。あるとすれば、社会全体が愛情を持って子どもに接すること、見守ることが大切なのではないかと。親が子どもに、先生が生徒に、近所の人が子どもたちに接するとき、大切なのはやはり愛情です。それと教育内容や方法は、時代を読みながら時代に合わせて行く必要があると思っています。
『Mugendai(無限大)』(1月27日付)
私が常日頃から言っていることと全く同じなので、嬉しくなりました。
道脇さんは日本のあり方についても次のように述べています。
自然災害レベルの凶暴化、インフラや住設の老朽化、人口減少・少子高齢化が重なり、深刻化すると、社会は維持できなくなってしまいます。「今、何が問題か」が判っているので、あらゆる方面からあらゆる取り組みをし、国民が総力を挙げて実行していくことが極めて重要で、それこそが社会を維持してゆくことができる唯一の道だと感じます。
『Mugendai(無限大)』(1月27日付)
今ほど、すべての人々が、目の前にある危機に真摯に取り組む姿勢が求められる時代はないのではないでしょうか。
本質的な問題や課題を感じ取り、原因や要因を見出し、メカニズムや原理を突き止め、解決策を考え出すという思考の流れが常に循環している道脇さんを見習い、私も主体性をもって社会維持のためにできることをしていこうと、改めて思いました。
あなたは道脇さんの生き方や言葉から何を学びますか?
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