〔教師を追い詰めるハラスメント〕
パワーハラスメント6つの類型
東須磨小学校の教員間暴力問題で、外部調査委員会が多数のハラスメントを認定しました。加害者とされた4教員の中で一番認定数が多かった人は、89項目ものハラスメントをしていたというのですから、驚きます。
さて、このハラスメント、どのようなものを指すのでしょうか。
厚生労働省の『ハラスメント基本情報』によると、「パワハラ」には、次の6つの類型があります。
- 身体的な攻撃(殴る、蹴るなど)
- 精神的な攻撃(暴言など)
- 人間関係からの切り離し(仲間はずしなど)
- 過度な要求(過度なノルマ要求など)
- 過少な要求(掃除しかさせないなど)
- 個の侵害(家族の悪口を言うなど)
これまでの報道の情報が正確だったと仮定すると、今回の暴力問題にはほぼ全ての型が当てはまるのではないかと思います。
そこが世間を驚かせたわけですね。
実際に体験してきたことを振り返る
現役時代の17年半を振り返っても、職員室で類型の(1)と(6)を見聞きしたことはありませんでした。
私が教員の世界でよく見たのは(2)と(4)です。
教員の場合、管理職、同僚、保護者、地域の人と、多方面から過度な要求をされ、精神的な攻撃をされるのが特殊なのだと思います。
そして過度な要求に応えるのが良い教師とされ、自分も良い教師になりたくて頑張りすぎてしまう……。
売り上げなどの成績がつけられる仕事ではないのでノルマはありませんが、『見えないノルマ』は数多く存在し、いつも『見えないノルマ』に追われている感じでした。
極端にいうと次のような感じです。
- 地域の人から
「先生は地域貢献するべきでしょ」
と、忙しい役目をこなすことを求められる。 - 保護者からは
「うちの子を良い子に育ててください」
とプレッシャーをかけ続けられ、時には
「うちだけ特別扱いしなさいよ」
という要求も受ける。 - 年上の同僚からは
「自分だけ目立つなよ。横並びになれよ」
と圧力がかかる。 - 管理職からは
「保護者や地域からクレームが来ないように行動しろ。問題起こすな。私の顔に泥を塗るな」
と遠回しに要求され続ける。 - そしてこれらができなかったり、反発したりすると、
「教師のくせに」
「教師失格」
「力がない」
などの暴言を浴びせられます。
今も続く理不尽さは解消されるか
そういう場面はたくさん見てきました。
先日お話をした関東某県の先生は、
「飲み会の席で若い教師はアルコールを飲むことを許されず、先輩教師たちにお酌をしたり、料理を取り分けたりしなければならない」
と言っていました。
ここまで極端ではなくても、一般の企業でも多かれ少なかれ当てはまるところがあるのではないでしょうか。
全国の労働局に寄せられる『いじめ、嫌がらせ』に関する相談件数は、2017年は約72,000件、2018年は約83,000件と増え続けているそうです。政府はようやくパワハラの防止を義務付けることを決め、今年6月からパワハラ防止法が施行されます。
これを受けて前近代的な学校現場も、変わっていくと良いなと思っています。
あなたはどのような職場環境を望みますか?
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