〔子どもの権利条約30周年に寄せて〕
採択から30年
今年11月に、子どもの権利条約は採択から30周年を迎えました。
子どもの権利条約は、世界の子どもたち(18歳未満)が権利をもつ主体であることを約束するものです。
現在、子どもの権利条約は、世界で最も広く批准されている国際人権条約で、国連加盟国数を上回る196の国と地域で締約されました。
子どもの権利条約は54条からなり、その内容は
「子どもが子どもらしく生き、健やかに成長し、未来を描けるように、すべての人が努力しなくてはならない」
というもので、世の中の状況がどのように変わっても大切にしたいものばかりです。
私は教員時代、中学年以上の子供を受け持った時はこの条約について勉強することにしていました。
子供たち自身も、自分たちのもつ権利について知り、学び、声を上げていってほしいと思っていたからです。
紛争や犯罪の多発する世界と日本
この条約が採択されて30年も経つのに、世界中には紛争や犯罪に巻き込まれる子供、貧困等の悲惨な環境の中で暮らす子供がたくさんいます。
日本国内においても、課題はまだまだ山積しています。
日本が子どもの権利条約を締結したのは25年前。
それから数年おきに子どもの権利委員会に報告書を提出してきました。
直近では2017年6月に報告書が提出され、子どもの権利委員会による審査が2019年1月16~17日に行われ、2月7日に総括所見が発表されました。
たくさんの所見が出されましたが、その中で緊急の対応が促されたのは次の6つの分野です。
- 差別の禁止
- 子どもの意見の尊重
- 体罰
- 家庭環境を奪われた子ども
- リプロダクティブヘルス(性と生殖に関する健康)および精神保健
- 少年司法
特に体罰
この中で体罰について取り上げてみると、委員会は、
「以下のことを深刻に懸念するものである」
としています。
(a) 学校における禁止が効果的に実施されていないこと
(b) 家庭および代替的養育の現場における体罰が法律で全面的に禁じられていないこと
(c) とくに民法および児童虐待防止法が適切な懲戒の使用を認めており、かつ体罰の許容性につ いて明確でないこと
そして以下の措置をとるように勧告しています。
(a) 家庭、代替的養護および保育の現場ならびに刑事施設を含むあらゆる場面におけるあらゆる 体罰を、いかに軽いものであっても、法律において明示的かつ全面的に禁止すること
(b) 意識啓発キャンペーンを強化し、かつ積極的な、非暴力的なかつ参加型の形態の子育てならびにしつけおよび規律を推進する等の手段により、あらゆる現場で実際に体罰を解消するための措置を強化すること
すぐに解決するのは難しいと思える課題もありますが、この条約にうたわれている権利の実現に向けて、一人一人ができることから取り組んでいきたいものです。
あなたは子どもの権利実現に向けてどのようなことを実践しますか?
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