〔人生に役立つ言葉の数々を〕
西原理恵子の作品がベストセラーに
教員時代、教子がお母さんの本棚から持ってきた1冊の本をきっかけに、私は西原理恵子さんの漫画のファンになりました。時々不謹慎な発言や下品な表現が出てきますが、人類愛に溢れた作品が多いと思っています。
その西原さんが娘に宛てて書いた本が30万部を超えるベストセラーになりました。
『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』(角川書店)です。
西原理恵子という人
西原さんは高知県の貧しい漁村で生まれ育ち、貧困の連鎖から抜け出そうと努力し、現在の地位を築きました。
自分に絵の才能がないことを認め(とても上手だと褒める専門家もいます)、ではどうしたらプロになれるかと戦略を立て、自分や周りのことを赤裸々に漫画にしてファンを集めていきました。無謀な企画にチャレンジしたり、海外旅行をして観光で行くのとは違ったその国の面白さを紹介したりもしましたし、アルコール依存症になって暴力を振るい更生した後に癌で亡くなった夫のことさえ、面白おかしく漫画にしました。
そのたくましい行動力や、様々な物事を見聞してきた故の視点などが面白いのです。漫画では、ご自分の長男長女さんのこともかいているので、私は読者として、親戚のおばさん気分でお子さんたちの成長を見守ってきました。
転んだときの起き上がり方
その長女さんが反抗期に入り、精神的に自立したと感じた西原さんが、娘さんに向けて「転んだときの起き上がり方」を書いたのがこの本です。
万能感に溢れているであろう若者に向けて、現実社会の厳しさをズバズバと書いています。
- 若さや美貌はあっという間に資産価値がゼロになってしまう
- 潰れない会社、病気にならない夫はこの世に存在しない
- 王子様を待たない。社長の奥さんになるより、社長になろう
- 「我慢すればいい」は考えることを放棄させ、逃げる気力を失わせる
- 娘が巣立つ時の母親の立場は元カレ。うざい元カレにならず見守る
- 若い頃の夢はざっくりしていた方がいい。そして、たくさんあった方がいい
- 打ちのめされて、自分の立ち位置を知ったところがスタート地点
- 自分のやりたいを諦めないためにはプライドのない切り替えが必要
- なりたい人ー自分=足りないもの 「足りないもの」が目標になる
- 自分の足で歩くことを放棄したら、誰かに依存するしかなくなる
- 負のスパイラルに堕ちないための、あの手この手を考えておく
- 親と子にも相性があり、適切な距離がある
- 何があっても、最後は笑えると思っていれば大丈夫
- 貧困は、すべてを押し流す濁流
- どんな時でも次の一手は自分で考えて、自分で選ぶ。幸せは自分で取りに行く
これらの含蓄のある言葉が、親子の逸話とともに軽快に書かれています。
終わりの方の章で、娘さんとの思い出を綴った文章には泣かされます。自分も娘をもつ親だからでしょうか。
うちの娘も来月には好きな人のところへ旅立っていきます。その前に、伝えたいことをしっかり伝えておこうと思います。
あなたはお子さんにどんなことを伝えたいですか?
(お子さんがいない方も、いると想定して考えてみてくださいね)
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