〔言葉が心を形作る助けになる時〕
マスクを通して伝える感謝の心
前回に続き『感謝』のお話です。
我が家では最近、新型コロナウイルス感染症の影響で売れなくなって困っている生産者から、通信販売で食材等を購入しています。
先日届いた荷物の中に、お礼の言葉と新しいマスクが入っていました。
とてもありがたいお心遣いですが、我が家にはマスクの買い置きがあります。難病の夫が出かける際に必ず使うので、感染症が発生する前から常備してあったものがまだ残っているのです。
そこで、配達に来てくださった方々に、お礼の言葉とともに新しいマスクを差し上げることにしました。
みなさんとても喜んでくださり、「ありがとうございます」が循環していくのは気持ちが良いなと思いました。
ありがとうゲームの思い出
教員時代、学級で『ありがとうゲーム』をすることがありました。
その日一日、人から「ありがとう」と言われた回数を覚えておく、自分もどんなに小さなことにも感謝をして「ありがとう」と言い、言った数を覚えておく、というものです。
ルールは「ありがとう」を強制せず、「ありがとう」にふさわしい場面で使うことです。
朝の会でこのゲームを提案した日は、例えば誰かが鉛筆を落としたら、周りの子が競争のように拾ってあげるなどして、教室内で「ありがとう」が飛び交いました。
言葉にはパワーがありますから、「ありがとう」が飛び交う教室はなんとなく温かい雰囲気になりました。
帰りの会では子供たちから、
「ありがとうって言われると気持ちいい」
「意識してみると、ありがとうって言う場面が意外にたくさんあった」
などの気づきが出されました。
言葉を意識して使うのがねらい
「ありがとう」を集めたいばかりに余計なお世話をする子や、ふざけて関係ない場面で「ありがとう」を連発する子などもいましたが、普段あまり意識せず反射的に「ありがとう」を使っている子や、「ありがとう」を伝える習慣のない子に、「ありがとう」という言葉を意識してもらう狙いは達成できたようでした。
「ありがとう」を言ってもらえるチャンスがないかと、周りの困りごとを探す行為も、動機はどうあれ良い習慣づくりのきっかけになったのではないかと思います。
「ありがとう」をたくさん集めた子もいたし、自分が「ありがとう」をたくさん言った子もおり、それぞれに拍手し合いましたが、実は回数でなく感謝の言葉を伝える行為そのものが大切だということを話しました。
単に回数を増やすことが目的でなく、意識して言葉を使うこと、感謝の言葉をやり取りすることで得られるパワーに気付いてもらうことが目的の実践でしたが、子供たちにどこまで伝わったでしょうか。
「ありがとう」と言ってもらえるようなことを自然にできる、何かをしてもらった時に心を込めて「ありがとう」を言える、自分自身がそんな人間でありたいなと思います。
あなたの周りにはどんな
「ありがとう」
がありますか?
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