〔いじめについての本を読んで〕
辛い経験を乗り越えて
タレントの中川翔子さんの書かれた『死ぬんじゃねーぞ!!』(文藝春秋刊)を読みました。
いじめられて不登校になり、自殺を考えたこともあったという中川さんが、
「学校に行くのがつらい」
と思っている子に向けて書いた本です。
中川翔子さんといえば、可愛らしく、多才で、人気があるイメージしかないので、とてもいじめられていたようには見えませんが、辛い経験を乗り越えてきたのですね。
本の内容は
この本では1章に、中川さんが受けたいじめの体験が書かれています。
「オタク」
「キモい」
と言われ、靴隠しにもあった体験、相談した教師に裏切られたと感じ学校に行けなくなった体験……読んでいて涙が出るくらい切ないのですが、こうしたいじめが全国で1日に1000件以上も起きているという統計が出ているそうです。
2章では今の時代のいじめを、インタビュー形式で紹介しています。
中川さんの時代と大きく変わったのはSNSが絡んでいること。
本人も所属しているLINEグループであからさまに悪口を書かれる屈辱や、ツイッターで拡散される恐怖、学校にいるときだけでなく24時間いじめにさらされる辛さは察するに余りあります。
第3章にはいじめを乗り越える方法が書かれています。
まずは眠り、好きなものを食べ、好きなことをし、悲しみ辛さに向き合う時間を先延ばしにするということ。
先延ばしにしているうちに、元気になったり、出会いがあったり、居場所が見つかったりすることもあるそうです。
それと、わかってくれる大人もいることを信じて、相談窓口などに助けを求めること。
転校やフリースクール、通信制の学校などもあるので、違う道を選ぶ(逃げるのではない)こと。
自分の心、命を守るために、好きなことをたくさん見つけること。
だんだん、心の切り替え方法を見つけられるようになり、どうでもいいことに関わらないように生きることができるようになると、中川さんは書いています。
第4章では
「10代は未来の種を見つける『さなぎの時間』で、好きなことを吸収して蓄えるタイム」
と書いています。
中川さんは今、様々な分野で活躍していますが、アイドルではやっていけないと思った時にブログを始めて、好きなことをとにかくたくさん書いていたことが夢実現につながったのだそうです。
そしてそれは、いじめられていた暗黒の時代に、1人で本を読んだり、絵を描いたり、音楽を聴いたりしていたことが下地になったとのこと。
「しんどいことにも必ず意味がある」
という中川さんの言葉は、今もいじめに苦しむ子たち、いじめられた傷が癒えない人たちの希望になると思いました。
大人としての責任
それと共に、この本に出てくる『いじめられた子たち』が、
「大人は信用できない」
「いじめで傷つき、大人に二度傷つけられた」
「大人を絶対許さないと思った」
と言っていることに責任を感じました。
まだ自分の心をコントロールできない子供たちに寄り添い、いざという時に守ってあげられる存在でありたいと強く思います。
あなたの周りにはどんないじめ事例がありましたか?
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