〔主体的な学びの具体例〕
ビブリオバトルをテレビ会議で
長野県で面白い取り組みがあるという話を聞きました。
県内の小規模校7小学校で行われた『遠隔ビブリオバトル』というものです。
『ビブリオバトル』というのは『書評合戦』のことで、5分間で本を紹介し合い、その中から読みたくなった本(=チャンプ本)を投票して決定する、スポーツのような書評会です。
大人の読書会でも行われており、この手法自体は私も教員時代に取り組んでいました。
今回面白いと思ったのは、そのビブリオバトルを県内の別々の市町村の小学校に通う児童たちが、テレビ会議システムを使って行ったという点です。
たくさんのことを学ぶ子供たち
実際にあらすじや感想を紹介したのは代表児童ですが、代表を決めるまでにクラス内でもビブリオバトルをやっただろうし、当日はみんなが他校代表の話を聴くのですから、全員が参加することができます。
普段接しているわけではない人々に自分の考えを伝えるのは大人でも難しいもの。きっとこの学習で子供たちは
- 自分の好きな本選び
- その理由を考えること
- あらすじを要約すること
- 感想を書くこと
- 感想に説得力をもたせること
- 伝わるように話すこと
等、たくさんのことを学んだと思います。
そして当日は、人の話を聴くこと、自分の知らなかった分野の本の魅力を知ること、他校の子たちと交流することからも大いに学んだことでしょう。
楽しかったという感想が物語る
教室内で
「3枚以上は書きなさい!」
と言われながら書く感想文とは違う、楽しい学習になったことは想像に難くありません。
その証拠に、子供たちからは
「またやりたい」
「別の学校の子たちともやってみたい」
と声が上がっているそうです。
この取り組みは、長野県の『中山間地域の新たな学びの創造事業』の一環で行われたものだそうですが、本に興味をもつきっかけになるとともに、人間関係が固定されがちな小規模校の児童が視野を広げる、良い経験になると思いました。
せっかく全国の学校にパソコンが導入されるのですから、このようにICTを活用した意義ある教育内容が増えていくと良いなと思います。
ちなみに、この時のチャンプ本は、飯山小学校が紹介した『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』だったそうです。
この本は、幸運を求める人が行ける不思議な駄菓子屋さんのお話で、訪れた人に合ったお菓子が幸運をもたらしてくれるのですが、食べ方や使い方を間違えると不運が訪れるという、なかなか深い内容です。
中学年以上の子供達に人気があって、もう10巻以上が出ていると思います。
あなたがビブリオバトルに出るとしたら、どんな本を紹介しますか?