〔住民本位の活用法を考える〕
便利で使い勝手の良い乗合タクシー
先日、『まちのことを考えよう学級』に参加しました。
今回のテーマは『地域公共交通対策について』で、主に乗合タクシーの話を聴きました。
八女の乗合タクシーは、事前登録をしておけば、電話予約で家の前までバンが迎えに来て目的地に連れて行ってくれ、出先から電話をすると迎えにきて家まで送ってくれるというものです。
タクシーに比べ1回300円と安いし、バスと違ってDoor to doorなので、近所の年配の方々は本当に助かっているようです。
私も車が使えない時に何度か利用しましたが、タクシー内で地域の方と交流できたり、通ったことのない道を知れたりして楽しいものです。
高齢者の利用が多いので、家にこもらず外に出ることで運動になるし、友達もできるというプラス面があるなと思いました。
予約型乗合タクシーは大合併の賜物
私の住む八女市は、10年前に大合併があり、約500平方キロメートルの面積をもつ広い市になりました。東京23区全部の面積が600平方キロメートルですから、どれだけ広いかがわかっていただけると思います。
大合併では、先に合併した一市一町に加え、新たに二町二村が一緒になったので、それまで各地域で取り組んでいたことを、1つの市としてどう作り直すかは大きな課題だったようです。
公共交通対策に関しても、それぞれの地域で、ローカルバスに頼っていたり独自のコミュニティーバスを持っていたりと様々でした。
高齢者が多く、特に女性は免許証を持っていない人が多いので、公共交通機関は必要。
山道の多いこの地域に、どんな乗り物をどのような路線で走らせるか、市民が利用しやすいようにするには何台の乗り物と何人の人手が必要で、経費はどのくらいになるのか……試行錯誤の末、今の形態になったそうです。
よく考えて作り上げられたシステム
何気なく利用していた乗合タクシーが、こんなに考えられてつくられたシステムだということを初めて知りました。
一部を紹介すると
- 利用者登録をするのは、利用者の家を地図登録してトラブルを防ぐ、高齢者対策
- 利用可能エリアは、各地域の希望を吸い上げ、かかる時間と予算を考慮
- 平日のみ1時間1本なのは、利用目的の多くが病院への通院、買い物であることとオペレーターのシフトの関係
- 路線や時間帯は、住民の利用の仕方をみて、路面バス、タクシー会社とすみ分けができるよう考慮
- オペレーターは商工会に委託、運行は6業者に委託
- 地域の病院や地域商店から人がいなくならないよう、地域経済の維持を考慮
- 1回300円という料金は、利用者の負担、システムの維持、他の交通機関との兼ね合いを考慮
国交大臣表彰も受けたが見直しも
このシステムは、2013年に国土交通大臣表彰を受けているそうです。豪雨災害があった時、道路が崩れてバスは運行できなくなったけれど、乗合タクシーは裏道も走れるので大いに役立ったとか。
住民の評価も、80%が『満足』だったそうです。
このシステムもスタートから10年が経過し、見直しの時期に来ています。
高齢者がもっとスマホを使うようになったら、アプリで予約ができるようにすることも計画しているそうです。
今回のお話で、市が住民の利便性や経済等、様々な方面から政策を考えていること、八女市の地形や状況、高齢者の生活スタイル等がわかり、とても有意義な学習になりました。
思わず、小学生の地域学習はこういうアプローチの仕方もあるな、自分や周りの利便性だけでなく市全体のことを考える良いきっかけになるなと、頭の中で教材づくりをしてしまいました。
あなたの地域の政策にはどんなものがありますか?