〔12歳の訴えから28年が経過〕
世界を5分間沈黙させた少女
あなたは1992年にリオサミットで伝説のスピーチをし、『世界を5分間沈黙させた少女』と呼ばれたセヴァン・カリス=スズキさんをご存知でしょうか?
セヴァンさんは日系カナダ人4世で、子どもの環境団体の代表としてリオサミットに参加したのは12歳の時でした。
大人たちに生き方をかえるようお願いするために、自分たちでお金を集めて、1万キロの旅をしたそうです。
セヴァンさんの訴えは今聴いても全然古いものでなく、1992年の課題が今も課題として残っているという悲しい事実を私たちに教えてくれます。
彼女の訴えとは
オゾン層ホール、大気汚染、海洋汚染、動植物の絶滅……今も続くこれらの環境破壊について、セヴァンさんは
「どうやって直すのかわからないものを、壊し続けるのはもうやめてください」
と訴えています。
また、
「ここにいる私たちみんなが、50億以上の人間からなる大家族であり、3千万種類以上の生物からなる大家族です。いろいろな国の政府や国境が、どんなに分け隔てをしようとも、私たち地球で生きるものたちが1つの大家族だということは、変えようがありません」
とも言っています。
私たちは大切な家族が住む地球を、自らの手で壊そうとしているということです。
大家族の一部の大人たちが争いをして、みんなの家を壊そうとしている……家族の中にはお金がなくて困っている人がたくさんいるのに、その大人たちは家族のためでなく、争うことにお金を使っているわけです。
そして大人は、争いをせず話し合いで解決することや、他人を尊重すること、分かち合うことなどを子供たちに説きながら、自分たちはそのように行動していない……。
セヴァンさんはそのことに疑問を投げかけています。
私たちを本当に愛しているのなら
セヴァンさんのスピーチの中に、ストリートチルドレンの話が出てきます。
住むところもなく、今日、食べる物もない一人の子どもが、
「ぼくが金持ちだったら、全ての家のない子に、食べ物と、着る物と、薬と、住む場所をあげる。それから、やさしさと愛情も」
と言ったことに、セヴァンさんは衝撃を受けたそうです。
12歳の子供が
「ひとつの目標に向けて心をひとつにして行動しなければならない」
と説得し、この言葉に、私を含む多くの大人が沈黙し、反省し、考えました。
セヴァンさんのスピーチは、
「もし私たち子どもを愛しているという言葉が本当なら、言葉でなく行動で示してください」
と締めくくられています。
当時の子供が大人になり動き始めた
SDGs(持続可能な開発目標)が国連で採択されたのはこのスピーチから23年後の2015年。
大人たちがようやく心を一つにしようと動き始め、それから5年が経ちました。
まだまだ課題は多いけれど、各国の取り組みに成果も見えてきています。
私もしっかり行動していこうと、改めて思っています。
あなたはセヴァンさんのスピーチから何を考えますか?