〔大牟田市は魅力的な自治体〕
世界遺産と漫画家と
あなたは『大牟田市』をご存知でしょうか。
福岡県最南端、熊本県との境にある元炭鉱の市で、2015年に三池炭鉱関連の施設などが世界遺産に登録されたことで有名になりました。
私の好きな絵本作家の内田麟太郎さん(『ともだちや』などの作者)の出身地でもあります。
また、漫画家を多く輩出していて、私が子供時代に読んでいた『ポーの一族』の萩尾望都さん、『マカロニほうれん荘』の鴨川つばめさん、『エコエコアザラク』の古賀新一さんも大牟田市のご出身です。
Wikipediaに掲載されているだけでも、12人の漫画家さんを輩出しているということです。
持続可能な社会づくりのために
さて、この大牟田市、ESD(持続可能な社会づくりの 担い手を育む教育)界では有名な市で、小学校・中学校・特別支援校がユネスコスクールに加盟しています。
ESD(持続可能な社会づくりの 担い手を育む教育)は2002年に日本政府とNGOが提唱し、同年、国連で採択されました。
その趣旨は、
- 一人ひとりが持続可能な社会の構築に必要な考え方を学ぶ
- 地球規模の課題を自分のこととして捉える
- 課題解決に向けて自分から行動を起こす“ちから”を身に付ける
というもので、SDGs(持続可能な開発目標)の4番目、『教育』にあたる部分です。
採択後はUNESCO(国際連合教育科学文化機関)が主導機関となって、世界中で取り組まれています。
そのUNESCOが認定する学校がユネスコスクールです。
絵に描いた餅にならぬよう
大牟田市では教育委員会と大学が中心になり、企業等の協力を得ながら、国内外の学校と交流を図っています。
活動の様子を伝える『ユネスコスクール便り』はネットにあがっている分だけでも81号になり、昨年は実践交流会に全国各地から 300 名を超える方が集まって学んだそうです。
実は2005年から2014年までの10年は「国連ESDの10年」でした。
けれども恥ずかしいことに、私は現役教員の時代には『ESD』を知りませんでしたし、そういう研修を受けたことがありませんでした。
せっかく素晴らしい内容の指針があるのに、知って指導に取り入れなければ、『絵に描いた餅』です。
現在は、小中学校に『ESDの手引き』が配られているはずですが、多忙な先生方がそれを学習する機会があるのかどうか疑問です。
従来のような教育委員会主導の方法だと、
「教育委員会の担当者が研修を受ける→その担当者が校長会で研修を行う→校長が担当教員を決めて担当教員向けの研修に行かせる→担当教員が校内研修を行う→研修内容をもとに学年ブロックなどで指導計画を練る→指導計画をもとに各学級で指導案を練る」
という流れになると思います。
しかしその間に、もっと緊急の目の前の課題が出てくれば、そちらに時間を割かれるということもあり得ます。
そこをクリアした大牟田市の実践は素晴らしいと思うので、ぜひ学んで、参考にしていきたいと思っています。
あなたはどんな自治体に学びたいですか?