子どもの自己コントロール力協会

【どのようないじめ回避策を考えますか?】

無理してまで仲良くしなくていい

友達がいることは必須事項ではありません

〔なくせないなら回避しよう〕

いじめられやすい人の特徴

前号に引き続き、『ヒトは「いじめ」をやめられない』(中野信子著、小学館、2017年)の後半をご紹介したいと思います。

中野博士は、いじめられやすい人の特徴として、

を挙げています。
私は教員時代に同僚と、
「高学年女子の『いじめ』は、妬みからくるものが多いよね」
と話したことがありましたが、それは、『一人だけ得をしているように見える人』を排除しようとする心理からきていたわけです。
妬みが強まるのは、類似性、獲得可能性が高くなる時なのだそうです。
そう考えると、同じ地域に住む、同じ年の子が、同じ場所に通っている学校の教室は、『いじめ』が起こりやすい環境であるといえます。

垣間見える学校の時代錯誤性

《身体的弱者》《空気が読めない人》《異質な存在と思われる人》は、これまで排除されてきた歴史があるかもしれません。
けれども、昔であれば《異質な存在》と捉えられていたLGBTが個性として認められてきたように、現在ではどれも排除の対象には当てはまらなくなりました。

現在はみんなと同じようにすること、できることを良しとする時代ではなくなっているのに、学校教育はいまだにそれを求めている、そこに学校教育の時代錯誤があるのだと思います。

また中野博士は教育現場についても
よく『いじめゼロの学校』をスローガンに掲げている学校を見ますが、

『いじめゼロを目指す』=いじめはあってはならない=『いじめ』を認めたくない

という心理が学校側に働き、『いじめ』ではなく『からかい』にしたり、隠そうとしたりしてしまうのではないかというように書いています。

一人だけ得をしているように見える場合もいじめの対象になることが多い

確かに、学級で『いじめ』があると担任の評価が下がるようなイメージがあります(実際にそうかどうかは学校や地域によって違うと思います)。
それに、『いじめ』の芽に真正面から取り組むと、被害者や加害者や見ていた子からの聞き取り、教頭や校長や生徒指導部への報告、それぞれの保護者への連絡、職員室での説明等、一つのトラブルから派生する仕事量は半端なものではありません。

どちらかの保護者が学校を非難し、毎日その対応に追われるという事例も教員時代に見てきました。
こういう仕組みを改善していかないと、『いじめ』の芽を摘むことは難しく、脳のブレーキ機能が未発達な子供たちの『いじめ』は深刻化していくのだと思います。

回避策の提案

中野博士は回避策について、人間関係を薄めて風通しを良くすることを挙げています。
チーム替えの頻度を増やす、競争でなく友好的な交流を増やす、クラス替えを増やす、班替えを増やす、習熟度別クラスにする等、意図的に空間的距離を与えたり、集団の人間関係に変化を与える取り組みが必要だということです。

子供たちに
「友達がいないのは悪いことではない」
「みんなと違う考えをもっていい」
ということを教えること、『いじめ』が起きてしまったら空間的距離を置くために学校外で学習をすること、『いじめ』は触法行為であるとして警察等を介入させること、第三者を校内巡回させること、『いじめ』対応の専任教師を置くこと、校内各所に監視カメラを設置することも提案されています。


中には学校の実態にそぐわないものもあるかもしれませんが、中野博士の主張は意見の一つとして参考になりました。
これからも、脳科学の側面だけでなく、様々な側面から『いじめ』の構造を学んでいきたいと思います。

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