〔難病市民公開講演会に参加して③〕
先日、福岡市市民福祉プラザ ふくふくプラザで開催された、難病相談支援センター主催の難病市民公開講演会『チャレンジ 挑戦する勇気』に、夫と一緒に参加しました。
3つの講演と公開対談があり、いくつかの面から貴重なお話を伺うことができました。
ブレイクダンス世界チャンピオンを襲った悲劇
3つ目の講演は元ブレイクダンス世界チャンピオンである、ISOPPさんの『僕が難病から復活した理由』でした。
ISOPPさんは、八女のお隣、広川町の出身で、ブレイクダンスの他、ビートボックス、DJ、グラフィティの達人でもあります。
いきなりかっこいい映像が流されたのですが、世界レベルのダンス、ダンスをしながらのビートボックス、グラフィティのパフォーマンス、どれも素晴らしかったです。
そんなISOPPさんは36歳の時に後縦靭帯骨化症という難病にかかりました。
これは、背骨の中を縦に走る靭帯が骨になり、神経根が押されて、感覚障がいや運動障がいを引き起こす病気です。
骨になる部位によって症状も違うようですが、ISOPPさんの場合は首にでて、テレビを見るのと食べるのがやっとというところまでいったそうです。
それまで人並み以上に動けて、動くことで表現をしていた人が、その全てを失うというのはどんな喪失感だろうと思うと胸が痛みます。
人生を諦めない
ISOPPさんは
「受け入れるしかない」
と、自分の病気にあった病院探しをします。
3件の病院で
「治らない」
「死を待つしかない」
と言われても諦めず、遠くの病院まで新幹線で行って、ようやく治療をしてくれる先生を見つけたそうです。
「これからの人生を後悔して生きないために、新幹線で病院に通うくらいは何でもない」
とおっしゃっていました。
ISOPPさんは今も、長時間正座をして痺れて感覚がなくなった時のように、四肢の感覚が麻痺しているそうです。
けれども、
「前のようには踊れないけれど」
と踊ってくださったブレイクダンスは、とても美しかったです。
ISOPPさんの人生のテーマは『完全燃焼』。
毎日がありがたくて仕方がなく、目がさめると
「今日も目一杯生きよう!」
と思うそうです。
人生は遊園地
内容の濃いお話の中で、私が一番印象に残ったのは、人生を遊園地に例えたところです。
誕生を遊園地の入り口、死を出口に例え、子供の頃には
「あれに乗りたい」
「これにも乗りたい」
と思っているのに、そこに行き着くまでに脇のソフトクリーム屋さんやおみやげ屋さんに寄り道をしてしまい、脇ばかりを歩いているうちに閉園時刻になってしまうというお話です。
『蛍の光』が聞こえ出してようやく、乗りたかった乗り物にまだ乗っていなかったことに気がつくけれど、もうそれに乗る時間はなく出口に向かわなくてはならない……そんな人生は嫌だというお話でした。
だからISOPPさんは難病を抱えながらもできることをやり、よしもとに所属してテレビなどにも出演しています。
前向きなことばたち
ISOPPさんは
- 「やせ我慢でも笑っていればいいことがある」
- 「ただ毎日を一生懸命生きるだけ」
- 「Happyを取りこぼしたくない」
とおっしゃっていました。
ISOPPさんからはその他にも前向きな言葉をたくさん聞かせていただいたのですが,なかでも私は,
「子供の頃の情熱を失わないで大人になるのは難しい。でも子供が情熱を失わないでいたら、それは芸術になる」
という言葉が心に残りました。
あなたはどんな情熱をもち続けていますか?