〔一冊の本に触発されて〕
世界の変え方
『自分を信じた100人の男の子の物語』(ベン=ブルックス文、クイントン・ウィンター絵、芹沢恵+高里ひろ訳 河出書房新社)を読みました。
副題の『世界の変え方はひとつじゃない』に惹かれたからです。
見開きで1人分、100人を紹介していますから200ページを超える本ですが、大判で、片方のページは一面絵なので、子供でも読みやすいのではないかと思います。
この本の前書きで著者は、自分が周りの子供たちが目指すようなスポーツ選手や映画スターには興味がなくて、何を目指したら良いかわからなかったということを書いています。
そこでこの本では、社会のいいなりにならず、ありのままの自分でいる勇気をもったことで世界を良い方向に変えた人々を紹介したということです。
これを読むと、
「みんなと同じようにしなくては」
「目立たないようにしないと」
ということは、決して日本独自の文化ではないのだなということがわかります。
どの国にも差別があり、その根本は
「違うのはよくないこと」
という考え方だから、当然のことでしょう。
この本に掲載されている100人のうち、私が知っているのは作家のオスカー=ワイルドや医師のパッチ=アダムス等31人でした。
その他の面々の中には名前でなく『イスカ・アカデミーの男子生徒たち』という団体名もありますし、肩書きには『小学生』『父親』『酋長』『デモの参加者』等も混ざっていて興味深いです。
それぞれ、不自由な国の制度や校則、奴隷制、LGBTであることへの差別、人種差別や思想への差別、児童労働、戦争、ナチス等に抵抗したり、自然災害や病気や障がいやいじめ経験や貧困を乗り越えたりした人々です。
彼らは周りから何を言われようと自分の好きなことを貫いて、発明品や芸術品や運動の火種を生みだしました。
信念に基づいた行動
- 例えばここに挙げられたアメリカの少年は、髪を失った子供達のために、周りからどんな風に言われても髪を伸ばし続けました。
- ある父親は、奴隷制度反対の信念を娘に伝え続け、娘を影響力ある活動家に育てました。
- デモの参加者は天安門事件の際、何の武装もせずに1人で戦車の前に立ちはだかり、『戦車男』の伝説を残しました。
このように、その人らしい感覚や行動や才能や考え方で、世界に良い影響を与えた人はたくさんいます。
子供の頃、この本を読みたかったなあと思うので、ご縁のあった子供達にもぜひ紹介したいと思います。
ちなみに、
「女の子版はないのかな?」
と探してみたら、ありました。
そちらも読んでみたいと思います。
挑戦者へのエール
著者はこうも書いています。
「自分に期待されていることに反するのは、たしかにこわい。でももっとこわいのは、挑戦しなかったり、努力をしなかったりして、自分には本当は何ができるのかを知らないままで大人になることだ」
あなたは自分の力を信じて、どんな行動をしますか?