〔興味深い作品との出会い〕
映画『舟を編む』を観ました。
原作は三浦しをんさんで、ファッション誌に連載されていたものが単行本になり、2012年の『本屋大賞』を受賞しました。
アニメにもなったようですが、今回は石井裕也監督、松田龍平主演の映画を鑑賞。
以下はネタバラシになりますので、これから鑑賞する予定で、内容を知らないまま観たい方は飛ばしてくださいませ。
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言葉の大海を渡っていく辞書づくり
題名を見たときは、『舟を編む』ってどういうこと?と思ったのですが、『舟』は言葉の大海を渡る辞書そのものを指していました。
確かに、編集することを「編む」と言いますね。
これは国語辞書『大渡海(だいとかい)』を作る人々の人生をテーマとした、言葉オタクの私にとってとても興味深い作品でした。
中でも、監修をしている国語学者が、俗語、流行語、誤用を積極的に載せようとするのが面白いなと思いました。
辞書作りには10年以上の時間がかかるので、その間に俗語や流行語はどんどん移り変わっていくでしょう。
それを集めるために、高齢の学者さんが合コンに参加したり、ファストフード店に行って女子高生たちの会話を聞いたりする場面が、とても素敵でした。
『右』の説明、実感のこもった『恋』の語釈等、言葉をめぐるエピソードの一つ一つが興味深かったです。
何かに情熱を傾ける人の姿というのはそれだけでも興味を惹かれるものですが、今回の映画ではさらに、本で埋め尽くされた主人公の家、言葉の中に溺れているような仕事、紙の辞書との触れ合い等、私の好きなものが詰まっていて、もしも子供の頃にこの作品に会っていたら出版社への就職を希望したかもしれないなと思いました。
今はネット検索をすれば即座に言葉の意味がわかる時代ですが、だからこそ、紙独特の滑り感を感じながら言葉を探す時間や、各辞書の個性的な語釈を楽しみたいと思います。
父が高校の国語教師だったこともあり、実家にはたくさんの辞書があったので、私は子供の頃から国語辞典と仲良しでした。
国語辞典には様々な個性があります。その個性を、学者であり、芸人でもあるサンキュータツオさんがまとめた、『学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方』(角川文庫)という本が出ています。
この本や今回の映画などに触れることで、SNS等で短い言葉やスタンプで表現することを習慣としている方々が、日本語の豊かさ、美しさ、面白さに気づいてくれると良いなと思います。
そして好きな言葉を、いっぱい集めてほしいです。
あなたはどんな言葉が好きですか?