〔魅力的な作家の魅力的な作品〕
美術館で名画の鑑賞をしてきました
久留米市美術館で開催されている『熊谷守一 いのちを見つめて』を鑑賞してきました。
熊谷守一は岐阜生まれの画家で、1880年~1977年を生きた伝説の画家です。
子供の頃から絵を描くことが好きで、地域の名士だった父親に反対されながら、東京美術学校に進みました。
そこで黒田清輝らに指導を受けたそうです。
久留米出身の青木繁とは同級生で、親交があったようです。
私は昨年、熊谷守一と妻 秀子の生活を描いた『モリのいる場所』(2018年公開)という作品を映画館で観ましたが、30年間自宅の敷地内から一歩も出ず、毎日小さな庭を冒険するモリは、無欲で純粋でとても魅力的でした。
そして、そんな夫を理解して、対人や家事で支える奥様も、それは魅力的でした。
熊谷守一役は山崎努さんが、妻役は樹木希林さんが演じていて、本当に素敵なご夫婦に見えました。
清貧で豊かな人生は美しく、私も晩年はこのように暮らしたいと思ったものです。
変遷を追いながら作品群を鑑賞する
97歳まで生きた熊谷守一の絵は、時代によってかなり変化をしており、今回の展示はその変遷が追えるもので、とても充実していました。
若い頃の人物画等を見ても
「すごいな!」
と思うのですが、私は後年の、単純化した形と鮮やかな色彩の画風が大好きです。
自然を愛した熊谷守一は、生命力に溢れる植物や、可愛らしい虫、鳥たちをシンプルに描いています。
見たものから、余計なものを全部取り去って、本当に美しいところだけを描いたように思えます。
今回は絵が描けなくなった時期に支援者から勧められて描いたという日本画や、書も展示されていました。
映画の中で熊谷家の表札が、書いても書いても持って行かれてしまうという描写がありましたが、この絵や書を手元に置いておきたくて持って行ってしまう方の気持ちが、分かる気がしました(もちろん、勝手に持っていくのは犯罪ですが……)。
予期せぬクリスマスプレゼント
熊谷守一展に大いに満足して美術館を出ると、外はクリスマス仕様のライトアップがされており、まだ少し残っているバラの花とあいまって、美しい風景になっていました。
予期せぬクリスマスプレゼントをいただきました。
熊谷守一展は2020年1月13日まで開催されています。
お近くの方はぜひ、熊谷守一の美しい魂に触れに行ってみてください。
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